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『黒死館殺人事件』読書会レポート

思えば2014年2月のことでした。小樽文学館で中井英夫展があるというので、これは一発、出張して『虚無への供物』で読書会をしよう!と酒の勢いで決まったのは。
そして無事目的を果たし、小樽で楽しく宴会しながら「せっかくだから三大奇書を制覇しようよ!」とやっぱり酒の勢いで決まったのは同年8月。
翌年2015年夏に『ドグラ・マグラ』読書会をチャカポコチャカポコと乗り切って、今年はいよいよラスボス『黒死館殺人事件』!
多くのメンバーが読む前から「ダメかも」と不安を口にし、読みながら「ダメかも」と嘆き続け、読み終わっても「ダメ…」と一言残してフェードアウト。そんな姿を見ていると、なぜ意地になってまで読書会をしようとしているのか我ながら疑問に感じつつも、「やる」と発してしまったらそれはもう絶対。言霊を軽んじるなかれ。

ひょっとしたら読書会後の宴会から行きまーす!という人が続出するのではないかと懸念していたのですが、いざ蓋をあけてみるとなんと20名上のお申込みです。スバラシイ!
ということで早速読書会スタート!

読書会開催にあたり、「熱烈なる黒死館ファン」を自称される福島読書会の世話人さんからもメッセージをいただきました。内容は…ナイショ(イヒヒ)でも「あー確かに!うんうん」と頷きました。そうか、そういう見方があったのか….。
今回は皆様に「ひとこと黒死館」として、ご自身の感想をひとことで表していただき、補足の説明をするという、笑点の大喜利みたいな方法を取り入れてみました。
結果がコチラ
DSC_0023.jpg


さて、ゆっくりとこれらの説明をうかがいましょう。

①読了できなかった
・「哲学的難解」:噛み砕いて読むと進まないので斜め読み(飛ばし読み)した。
・途中から「お耽美」小説にしか思えなくなった。文体が好きだった。謎解きは必要なし。
・「不安からの脳内麻薬」:12時間のフライトで6ページしか進まなかったが、読み方がわかってからは、すいすいと200ページまで。
・理解するのが「むずかしい」

②初読で「嫌い」派
・「なに、〇〇!」という台詞が多かった。内容が頭に入らない。
・「右から左」に受け流して読んでいた。
・自分の「読解力」のなさを思い知らされた。
・「何なの?」:法水は蘊蓄や知識をひけらかすだけじゃないか。
・「秘宝館」に入る前のようにわくわくして読み始めたが、「秘宝館」に入ったあとのように肩透かしを食らってしまった。
・法水さんには「二度とお会いしません」:うしろに栞を挟んで読んだ。内容が全然わからない。
・「法水は出入禁止」:三大奇書の中で一番読むのが辛かった。法水がいることで真相が遠のくのではないか。

③初読で「好き」派
・「ノリリンに胸キュン」:法水、支倉、熊城の掛け合いを心のよりどころにして、何とか読み終えた。
・「つかれた」けど、途中から読むのが楽しくなった。
・「ムカッ→クスッ」:法水のある人物への態度にムカッとしたが、後々あれは笑うところだったのではと思ってからは楽しく読めた。二度目の挑戦で読了できた。
・読了は一日でできたが、内容は余り入ってこなかった。印象は「外連味が9割」
・ 作者/法水は「稀代のペテン師」:初読時は、内容も難しくなく単純な印象で、意味のない知識の羅列はまさにアート、と絶賛したい気持ちだったのが、二度、 三度と読むうちに評価が下がっていった。中身がないストーリーを無駄に膨らませているだけ。トンデモ本としての価値はある。
・「私にも読めた! 三大奇書が。2016年 夏」:みんなはひどい奴だと言うけれど、もう少し法水くんと付き合ってみたい。

④再読以上
・「スピードラーニングのように読み(聞き)流すのが一番。蘊蓄をのぞけば普通のミステリー」
・ミステリーのお約束を利用して書いた長い「詩」を読んでいるよう。欠点はあるにしても、法水はきちんと謎を解いている。
・「わからないのが好き」:漢字にルビがうたれているのが好き。内容はわからない、でも、いい。マンガ版もお勧め。
・ドラマの「33分(間)探偵」を想像した。雑誌連載を持たせるために、作者がした努力の結晶。
・三回読むと「普通」の印象。一度目二度目は、もう二度と読みたくないと思ったが、三回目には読みどころがわかる。
・三大奇書で一番つまらない。三大奇書に入っているから読んだようなもの。ヴァン・ダインの影響が大きい。黒死館と同時代の作家の多くが影響を受けているようだ。というわけで「閉幕(カーテン・フォール)」

探偵法水に対しては「いらない蘊蓄のひけらかし」とついついイラッときた方が多いようでしたが、もちろん擁護派もいらっしゃいました。魅力に感じるところは「病的」「残念、なところ」「物知り」「失敗しても反省しないところ」…だそうで、褒めてるのかなんなのか少々ビミョーですが、優しさは伝わる(笑)法水くんも救われたに違いありません。

感想を一巡してからはフリートークとなり、他の小栗作品や三大奇書、そもそも「奇書」ってなに?誰が決めたの?とか「アンチミステリ」ってなに?などの疑問も飛び出し、幅広いお話しとなりました。

さて、今回は宴会幹事みほりんさんがレジュメを作ってくれました。
普段は「ミステリー小説、あんまりたくさん読んでないし」「ビジネス書とか多いし」と言っている彼女が世話人の中で唯一とうの昔に三大奇書を読んでいて、且つ黒死館が一番読みやすいとサラッと言ってのけた事実をどう受け止めたらいいのか…と思っていたら、なるほどこういう楽しみ方をしていたのね、という納得の内容。
『黒死館殺人事件』、こんな楽しみ方はいかがでしょうか?

題して「こんな黒死館はいや~平成編~」
1.館から一歩も出ないので通販事情に詳しくなった弦楽四重奏団(ストリングス・カルテット)のメンバー達
2.栄光の手(ハンド・オブ・グローリー)を作るのに間違ってバルサミコ酢を使ってしまったため出来がイマイチ
3.これからはストリングカルテットの時代ではないからバーチャル歌手にして名前を初音ミク、 鏡音リン・レン、巡音ルカにすると言いだす旗太郎
4.テレーズ婦人を模した人形をフィギュアとして売り出す旗太郎
5.副業として大型販売店(スーパー)を経営し始める降矢木家。悪魔会議日(サバスデー)は5%オフ
6.門外不出の禁を破って今年はPMFに参加したいと言い始めるストリングス・カルテット
7.遺書開封後、遺産運用のためカルテットメンバーの間でNISAの本が回し読みされる
8.ふけを気にした熊代がシャンプーをドラッグストアで選んでいるところを法水に見られる
9.カリオストロの錬金術の本を読もうと思って間違って「カリオストロの城」をポチってしまった法水
10.体力が必要ということで、まずは腕立て伏せから始める鐘鳴器(カリルオン)教室
11.あつあつソーセージとビールがおいしい樹皮亭(ボルケン・ハウス)
12.事件のため敷物を新調したかったのだが、お値段以上それ以上のお店で探し始める降矢木家

そして読書会終了後、参加者のおひとりがこれをさらに補強して下さいました。
「こんな黒死館はいや~平成編neo~」
1’.実はお前らが三角関係じゃん!と、腐女子に噂されるノリリン、支倉、熊代。同人誌まで出回る始末。
2’.圧倒的な雑学力を生かし、Qさま!の常連になるノリリン。伊集院さんといい勝負。ただし常識的な答えの問題にはめっぽう弱い。
3’.伸子へのプロポーズ?のセリフを、何故かSNSで拡散されてしまうノリリン。古今東西の大火史を語るために立ち上げたブログが大炎上。
4’.ポケモンGOをやりたくて、外出の禁を破ってしまうカルテットのメンバー達→歩きまわった結果、レヴェズはダイエットに成功したので、本まで出版する。
5’.算哲博士の葬儀を行ったのは、実はやわ◯ぎ斎場で、「棺の中で生きかえったらどうするんだ⁈」「やわ◯ぎに相談したら?」と、CMのネタにされる。
6’.伸子を救えず、自分の知識は捜査の役に立っていないのでは…と自信喪失するノリリン。今後のためにとサイドビジネスをスタート。もちろん商品は、「ただ聞き流すだけで、あなたも雑学王になれる!」というCD。
7’.実は、自分の禿を何とかしたいと思っている乙骨先生。ドラックストアで発毛剤を物色しているのを、ノリリンに目撃されてしまう。
8’.事件のほとぼりが冷めた後、黒死館がおしゃれなカクテルバーとして生まれ変わる。しかし名物カクテルは「ダンネベルグ夫人のスクリュードライバー」。

いかがでしょうか?
読み進めるのに苦労する方が多い『黒死館殺人事件』がちょっとだけ楽しくなるかもしれません。

兎にも角にも三年かかって三大奇書すべての読書会を行うことができました。これも熱心に本を読んで集まって下さる方々がいればこそです。ありがとうございました。そして夏の苦行、本当にお疲れさまでした。
来年からこの苦行がない(苦行苦行と連呼するのはどうなのか!?)と寂しく感じるかもしれませんが、これからもエッジの効いた選書で楽しく読書会を続けていこうと思っています。
どうぞご贔屓に(^-^)/
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