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プチ読書会vol.1 レポート

1/19(土)、初めての試みであるプチ読書会を行いました。
プチ読書会(略してプチ会)とはなんぞや?
翻訳ミステリー読書会を公式行事とするならば、プチ会はもう少しカジュアルな、なんでもアリな読書会です。
今回のお題は『バーにかかってきた電話』(東直己著)。
北海道で異常な観客動員を記録した映画『探偵はBARにいる』の原作です。
この観客動員の理由は言わずもがなでありますが・・・(笑)


バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)
(1996/01/01)
東 直己

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そもそも課題本が決まったきっかけは昨年私が遅ればせながら映画のDVDを観て、twitterで呟いたところ「よーし!ケラーオオハタ(作中で探偵の行きつけのバー)を探しに行こう!」と盛り上がったからです。ええ、こんな簡単なことで決まっちゃうんです。


探偵はBARにいる 通常版 [DVD]探偵はBARにいる 通常版 [DVD]
(2012/02/10)
大泉 洋、松田龍平 他

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1次会は映画のロケに使われた喫茶トップさんで、【探偵】が食べていたナポリタンスパゲティを食べながら、2次会はバーでカッコよくギムレットを飲みながらの読書会(という名のなんでもありトーク)となりました。
原作のモデルになったバーはすでに閉店になっているようで、今回はススキノの老舗「バー山崎」さんにお邪魔しました。
それぞれのお店については、後日あらためて紹介させていただきます。

今回の参加は総勢7名。
ススキノ駅直結の某所で待ち合わせましょうとお知らせしたら「では、僕は胸に赤いバラを」「じゃぁ私は雑誌ピンキーを持って」と前日からノリノリ気分。ん?でもそれって【探偵】じゃなくて【スパイ】じゃねーの?ま、いっか(笑)

まず早々に出たのは「映画のタイトルとごっちゃになって本2冊買っちゃいました」の声。
そうです、東さんのススキノ探偵シリーズは1作目が『探偵はバーにいる』、2作目が『バーにかかってきた電話』。そして映画『探偵はBARにいる』は2作目の『バーに~』を原作にしている・・・というわけで、うっかり1作目を買うと「あれ?違う」ということになるんですね。映画1本で本を2冊買わせる戦略(じゃないと思うけど)、侮れん・・・。よくよくみれば小説は「バー」で映画は「BAR」と表記が違うのですけどね。普通そこまで気にしないでしょ。これを機にシリーズを読めばいいんですよ!

それから簡単な資料を元に、小説の背景となった1984年の出来事を振り返ってみました。
こんな時代だったんですよ、懐かしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/1984%E5%B9%B4
ぶっちゃけ私などは鮮やかに記憶がありまして(苦笑)、でも参加者さんの中にはロス五輪の頃はチビッコで「おばあちゃんの家にグッズがあったのでなんとなくわかります」という方もあり、ちょっとクラっときたりするわけです。

この小説がお題になれば映画の話は欠かせない!
皆さん一様に「原作だけ読んだら主人公はカンペキ東さん。洋ちゃん(道民みんなこう呼びます)のイメージじゃないよね。でも映画では全然違和感なかったねー」と感心しきり。
一度映画を見ると作中で多用されるカッコ書き(主人公である「俺」が現実を混ぜっ返すような茶化しを入れることが多い)のところなんかが洋ちゃんっぽく感じるよねと、小説・映画ともに上々の評判でした。
よく”残念な映像化”(=原作の魅力台無し)というのがありますが、「やっぱり原作に愛情のある映像化とそうじゃないものがあるように思う」というご意見あり。
もうちょっとツッコミますと「伊坂幸太郎はラッキーだけど宮部みゆきはお気の毒」ということで・・・。

ちょっと真面目な話もありました。
東作品に度々でてくる”全共闘世代”について。
『バーにかかってきた電話』でも事件のずーっと奥深いところにこの因縁があります。
東さんはそこはサラリと書いているのですが、もっと何があったのかを書き込んで欲しい、はっきり知りたいと思う人もいるのかしら?という疑問がでたら、それに対して、きっとその世代の人たちは当時どのような立場であっても心に負うところがあるから、まさしく行間からたくさんのことを読み取っていて、言葉をたくさん使っての説明は必要としていないんだろうねという意見もあり。
たまーにこんな真面目なことも話してみるのですよ、こう見えても。ほんとにちょとだけだけど。

そして喫茶トップのママさんが映画撮影の時のお話をして下さいました。
(どうやらマスターは口下手なのでママさんにムチャぶりしたらしいです)
というわけで、ママさんの弾丸トーク、お楽しみ下さい。

「いや~最初はね、面倒くさいなって思ったんだけどススキノの活性化になるならいいかなと思ってお引き受けしたんですよ。なんかねぇ、監督さんがこの辺を探してて、ホラ古いでしょ、この店。それに外にはもう今時こんなの使ってないみたいな自販機とかよくわかんない置物とかあるしね。なんかきっとイメージだったんでしょうね。お客さんに迷惑かけられないから定休日に来てもらったんだけど、撮影ってあんな大変だと思いませんでしたよ。なんか映画では”まずいスパゲティ”っていうことになってるんでしょ?だからまずそうに見えるようにうちのマスターとスタッフの人で苦労してねぇ(実はある方法を使ったそうなのですが、その話は参加者特権ということでナイショ)。大泉さんがドアから入ってくるシーンなんか何回も撮り直して、あれ、1回やるたびにちょっとした髪の乱れとか直すのね、そんなのどうでもよさそうなのにね、そういうわけにいかないのね(確かに元々モジャモジャだし)。まぁそれにしても本当に大変だったからもうコリゴリだと思っててね、試写会の案内とかもらったけど忙しいし面倒だから断っちゃったのよ。そしたら、映画が公開になってからお客さんがたっくさんくるようになって”そんなに面白いの?”ってビックリしてね、マスターと慌てて観に行ったんですよ。ホラ、なんか夫婦で行くと50歳以上だったら安くなるんでしょ?でもね、映画館の受付にいったら何にもきかれないでいきなり割引になっちゃってちょっとショックだったわぁ。いやいや、それはどうでもいいんだけど。それで映画観たらすっごい面白いじゃない!?後ろの席の人とかが「DVD出るんだって。買おう」って言ってたから、私も心のなかで「私も買おう~~~♪」って思ったわよ。お客さんはね、ホント遠い人は九州からいらした人もいましたよ。それからすっかり同じような服でなりきってスパゲティ食べてってくれた人もいました。大泉さんも松田龍平さんも意外なくらい物静かな方でしたよ。待ってる間はずっと本みたいの(台本でしょうか?)を読んでらっしゃいましたね。撮り直しのたびにスパゲティを作り直すからすっごいたくさんになっちゃってね、撮影が終わったら大泉さんもお腹空いてたんでしょうね、ペロッと食べていかれましたよ。え?東さん?ええ東さんも来られたことありますよ。ていうか、あの方この辺り毎日ウロついてるでしょ(笑)うちのスパゲティも気に入ってくれたみたいで、何度か食べていかれました。ところで皆さんも映画がお好きで?(映画も好きですが小説も好きでと答えたところ)あら~~~そうですか、あらいいですねぇ。本はいいですよねぇ、私も本大好きなんですよ。いや実はね、さっきから皆さんのテーブルのところから私の好きな作家とか本の名前が聞こえてきたから、ちょっと嬉しくなってたんですよ。私もね、けっこうお客さんのお勧めなんか聞いてずいぶん本読みましたよ。最近はね、寝る前に森瑤子の本を読むんです。なんかホラ、別世界~♪っていう感じでいいじゃないですか。いや~こうやって本の話ができるお友達がいるのっていいですねぇ。」

ラスコーリニコフも仰天の長台詞、ありがとうございました。
こんな気さくで素敵なママさんがいらっしゃる喫茶トップさんです。もちろんスパゲティ(パスタじゃないんです。ここ重要)もコーヒーも絶品。
ぜひぜひ皆様ご贔屓に。

バー山崎に河岸を変えても勢いはそのまま。
本の話、映画の話と盛りだくさんでした。
読書会の特徴で、必ず課題本以外で話題独占となる本が出現します。
今回はかの名作トレヴェニアンの『シブミ』。

シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
(2011/03/10)
トレヴェニアン

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シブミ〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)シブミ〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)
(2011/03)
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最近これを読んだという方が本当に開口一番といった勢いで「『シブミ』読みました?読みました?私、読んだばっかりなんだけどもう全然ダメ!面白くないし、主人公もカッコ悪いし、翻訳もさっぱり意味分かんないこと書いてて、もう腹立っちゃった」という爆弾発言を皮切りに盛り上がりました。
「これってどういう意味だと思う?」と怒りモードで紹介された訳文は「わたしたちは、大きな社会で機能して大衆に風味と質感を与えているべきだわ」という迷、いや名文。
そして全員が「そっそれはっ・・・」とフリーズしたのが主人公が体づくりのために飲んでいるもの(プロテインみたいな位置づけでしょうか)の命名「タンパク質ショック食」!なんて力のつきそうな、というか飲んだ途端にヒキツケおこしそうな、脳天にガツンとくる訳文!
しかし我々はただただ子供のように「意味分かんない」とゴネていたりはしません。そこはそれ、ギムレットの力です。
あーでもないこーでもないと話すうち、「つまりさぁ、(訳者の)”これでわかれ!”っていう熱い気持ちが根底にあるんだよ」と、ものすごい落とし所を見つけました。
恐るべし、これといったポリシーのない気楽な読書人達・・・・。

こんな感じでオシャレなカクテル飲みながら馬鹿ッ話に興じた夜でした。
札幌読書会の本年第一弾の読書会は滑り出し上々。
今年もいろんな企画を楽しんでいきたいと思っています。

次回の読書会は2/16(土)。
課題は『ジーブズの事件簿~才知縦横の巻』(文春文庫)or『比類なきジーヴス』(国書刊行会)。


ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)
(2011/05/10)
P.G. ウッドハウス

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比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
(2005/02)
P.G. ウッドハウス

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ユーモア小説の金字塔見参です。
そして『比類なきジーヴス』の翻訳をされた森村たまきさんも見参!
大変ありがたいことに満席となってしまいました。
キャンセル待ちをご希望の方は下記告知にしたがってご連絡下さい。
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20130119/1358556876

そしてすでに次々回の課題本も決定しております。
『推定無罪』です!


推定無罪 〈新装版〉 上 (文春文庫)推定無罪 〈新装版〉 上 (文春文庫)
(2012/09/04)
スコット トゥロー

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推定無罪 〈新装版〉 下 (文春文庫)推定無罪 〈新装版〉 下 (文春文庫)
(2012/09/04)
スコット トゥロー

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ジーヴズ(ス)がユーモアならこちらはリーガル・サスペンスの金字塔。
最後の最後までスリリングな展開が続く一級品です。
こちらは4月中旬ころご案内の予定ですのでお楽しみに。
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